秋の寺宝展のお知らせ

秋の寺宝展 会期9/1~11/30

清浄心院・高野山文化歴史研究所にて当院の文化財の調査・研究の中で発見された宝物を順次公開する予定です。今回は清浄心院谷で修行をしていた滝口入道に関する寺宝を1点、公開いたします。宿泊の方は無料です。

「横笛・滝口入道図屏風」寺崎広業筆‥‥平家物語の中にも登場する、清浄心院谷で修行をしていた滝口入道(斎藤時頼=平重盛の家臣)の物語を描いた屏風絵。

【会期】令和4年9月1日~11月30日迄
【時間】①11時~ ②12時30分~ ③16時~
【拝観料】護摩木1本(1,000円)※宿泊の方は無料
【予約】0736-56-2006
【拝観方法】ご予約のお時間までに清浄心院受付に集合ください。お時間になりましたらスタッフが、客殿・霊牌堂(阿弥陀如来像/運慶作・重要文化財)・大台所・囲炉裏の間(寺宝展会場)を順番にご案内いたします。


「横笛・滝口入道図屏風」 寺崎広業筆
筆者の寺崎広業(てらさき こうぎょう:1866~1919)は、東京美術学校(現東京芸術大学)教授で、文展審査員・帝室技芸員となり、東京画壇中心的画家として活躍した人物である。秋田藩の出身で、寺崎の父は同藩の家老であった。
この屏風は明治36年3月大阪で開催された第5回内国勧業博覧会に出陳され、2等賞がおくられた作品であった。右隻には横笛が滝口入道に会うことが許されず、秋草の乱れ咲く京都の嵯峨の野辺を、三日月に背を向けて淋しく帰る姿を描く。横笛は滝口が嵯峨の往生院にいることを探しあぐねて訪問したが、滝口は面会を許さなかった。左隻には、滝口入道が横笛との想念を振り切ろうと座禅をする姿を描いている。この話は『平家物語』に記されているもので、滝口はこの時19歳で、横笛はこの後没した。滝口は横笛が死亡したときき、高野山の清浄心院へ入り益々修行に励んだとされる。

紙本著色 六曲一双 各152.4㎝×360.6㎝。

解説 木下浩良(清浄心院・高野山文化歴史研究所 所長)