今月4月20日に1年に一度だけのご本尊・廿日(はつか)大師がご開帳されます。当日は池口恵観住職が修法する「廿日大師大護摩祈願祭」をはじめ、高野山内住職による理趣三昧法要など、この日を中心にさまざまな法要を予定しています。そこで、廿日大師特別拝観に初めて参加される方に向け、住職が廿日大師さまについてわかりやすくお話ししてくださいました。
後世の人を救うために生き続ける
——ご本尊・廿日大師はどのような仏さまなのですか?
池口恵観住職
清浄心院のご本尊は廿日(はつか)大師。お大師さま(空海)のことです。お大師さまはできるだけ多くの人々を救おうという思いでいらしたので、後世の人を救うために自分が生き続けるという道を選ばれました。それが※入定(にゅうじょう)であり、今でも奥之院でお祈りをされています。
しかし、お大師さまはご自分の姿が見えなくなると、慕ってくる信者や弟子など皆んなが寂しがるだろうと思われた。だから入定される旧暦3月21日の前日である20日に、お大師さまご自身が仏像を彫って、そこにご自分の魂を入れて開眼をし、翌日入定されたのです。
当院はそのありがたいご本尊さまがいらっしゃるお寺です。そして一年に一度、4月20日にご開帳されますので、私もしっかり拝まないといけないと感じています。
——清浄心院が初めての方へお勧めされたいことはありますか?
池口恵観住職
清浄心院ではぜひ、護摩行を体験されてください。ここはお大師さまと一緒に「行」ができる場所です。私もお大師さまと一緒になって「行」をしています。みんなが幸せになるように一生懸命拝んでいます。また、護摩行にはたくさんの仏さまを呼んでいますので、そこで「行」をされるのはとてもいいことだと思います。
当院は奥之院に一番近い宿坊です。お大師さまがお祈りをされている奥之院にもご参拝ください。奥之院の参道には20万基のお墓があり、生き続けていた人と会える場所です。私は学生時代、高野山大学の寮におりましたから、夜の12時頃になると、ほとんど毎日奥之院に通いました。夜の奥之院も静かですごくいいですよ。
※入定(にゅうじょう)…永遠の禅定(瞑想)に入ること。
池口恵観住職
高野山別格本山清浄心院住職。高野山真言宗宿老・大僧正。傳燈大阿闍梨。
昭和11年11月15日、鹿児島県生まれ。高野山大学文学部密教学科卒業後、昭和48年烏帽子山最福寺法主に就任。昭和63年高野山真言宗傳燈大阿闍梨、平成18年高野山真言宗大僧正。また、北海道大学、山口大学、岡山大学、京都府立医科大学、兵庫医科大学、高野山大学などで客員教授など、広島大学、金沢大学などで非常勤講師を務め、医学博士でもある。平成元年に仏教史上初の百万枚護摩行を成満する。
取材・文/藤田ベリー