恵観住職 2023年冬インタビュー「新年の厄ばらい(星供)」について

令和6年2月21日(水)12時より清浄心院護摩堂「鳳凰奏殿」において、節分を迎えた「厄ばらい大護摩祈願祭」が行われます。今回はその「新年の厄ばらい(星供)」について、どのような思いで執り行われてきたのか? 清浄心院 高野山文化歴史研究所 所長でもある木下浩良氏が、惠観住職にお話をお伺いしました。

池口住職と木下所長

厄払いで新たな生命を頂き、また新たな一年を元気に過ご

木下浩良所長 惠観先生、先ずは節分についてお尋ねしたく存じます。

池口恵観住職 2024年の節分は、2月3日(金)です。節分とは、立春に最も近い新月を元日とし、新年の始まりであることから、一般的に立春の前日に節分の行事が行われるようになりました。節分は無病息災を願う行事です。2月上旬はまだ寒く体調を崩しやすい時期ですので、新年を迎え、一年間の無病息災祈る行事なのです。

木下所長 節分は無病息災の目的でされるものなんですね。

池口住職 人は一年という日々の生活の時間の経過の中で、どうしても疲れて元気がなくなったりするものです。そこで、もう一度新たな人間として生まれ変わる年中行事が、節分だと、私は思います。節分は言わば一年間に溜まった邪気を吐き出す厄払いでもあるのです。

木下所長 では、一般に言われる厄年の方だけが厄払いをすればいいのでしょうか?

池口住職 もちろん、厄年の人たちは人生の大事な節目の年ですので、いろいろな悪いものが体に溜まっていらっしゃいますので厄払いを特になさるべきですが、厄年でなくても先にお話しましたように厄払いをなさって新たな生命を頂き、また新たな一年を元気に過ごされることをおすすめします。

木下所長 ありがとうございます。何か、生きていく上での勇気を惠観先生からもらったように思います。

池口住職 人にはそれぞれオーラがあるものと思います。分かり易い言葉で言いますと「光」です。光輝く人には、悪いものは寄り付きません。いいものだけが集まります。仕事場でも、家庭でも同じことです。光り輝く人が発する言動には、力があるのです。私達、僧侶は皆様が光り輝く人たちとなり、それぞれのお立場で活躍なされるよう願っています。厄払いをお受けいただいて、新たな光をそれぞれの方が充填されるよう心から祈念申し上げます。

木下所長 今の惠観先生のお言葉には、何か救われたような気がしました。

池口住職 皆様が光り輝やいて、積極的に生きる手助けをすることが私達僧侶の務めと思っています。来る令和6年2月21日(水)は皆様のお越しをお待ち申しています。「厄ばらい大護摩祈願祭」にご参加頂き、また新たな一年を迎えましょう。

木下所長 惠観先生、ありがとうございました。

池口恵観住職

池口恵観
高野山別格本山清浄心院住職。高野山真言宗宿老・大僧正。傳燈大阿闍梨。昭和11年11月15日、鹿児島県生まれ。高野山大学文学部密教学科卒業後、昭和48年烏帽子山最福寺法主に就任。昭和63年高野山真言宗傳燈大阿闍梨、平成18年高野山真言宗大僧正。また、北海道大学、山口大学、岡山大学、京都府立医科大学、兵庫医科大学、高野山大学などで客員教授など、広島大学、金沢大学などで非常勤講師を務め、医学博士でもある。平成元年に仏教史上初の百万枚護摩行を成満。

木下先生

木下浩良
清浄心院 高野山文化歴史研究所 所長。高野山大学総合学術機構元課長、高野山大学密教文化研究所受託研究員。神戸学院大学非常勤講師。日本山岳修験学会評議員、九度山町文化財保護審議会委員・日本遺産女人高野調査委員。福岡県柳川市生まれ。1983年、高野山大学文学部人文学科国史学専攻卒業後、高野山大学職員に。柳田國男の孫弟子である高野山大学名誉教授の日野西眞定師に師事。