弘法大師ご誕生1250年記念寺宝展 会期 令和5年3月1日〜8月31日
清浄心院では当院の文化財の調査・研究の中で発見された宝物を順次公開しています。現在、春の寺宝展から宗祖・弘法大師ご誕生1250年を記念し、当寺院所蔵の稚児大師御影を二幅展示しておりますが、会期を夏期も延長することになりました。これから総本山金剛峯寺では6月15日の宗祖降誕会を中心に、5月14日から7月9日までの57日間、宗祖弘法大師御誕生1250年記念大法会が行われます。この法会に併せて、清浄心院でも8月末日まで展示を続けさせていただくことになりました。
一つは室町時代の作で、ふだんは高野山霊宝館寄託の御影であり、今回の寺宝展のため特別な許可を得て展示をしている寺宝です。春の寺宝展でも好評でした。ぜひ、この会期中にご覧ください。宿泊の方は無料です。
稚児大師御影(ちごだいしみえ)
【会期】令和5年3月1日~8月31日迄
【時間】①11時~ ②12時30分~ ③16時~
【拝観料】護摩木1本(1,000円)※宿泊の方は無料
【予約】0736-56-2006
【拝観方法】ご予約のお時間までに清浄心院受付に集合ください。お時間になりましたらスタッフが、客殿・霊牌堂(阿弥陀如来像/運慶作・重要文化財)・大台所・囲炉裏の間(寺宝展会場)を順番にご案内いたします。
稚児大師御影(ちごだいしみえ)※高野山霊宝館寄託
箱書に「童形大師」と墨書する。空海が入定する前に弟子・信徒へ後世の為への戒めを25箇条にわたって示された遺言の「御遺告(ごゆいごう)」の中に「5~6歳の頃、蓮華座に座して諸佛と物語る」とあるのに基づいて図像化されたもの。袴を着けた垂髪(すいはつ:たれ下げた髪)姿の童形の空海が合掌し、蓮華座に座して、月輪を後背としている。稚児大師像と言えば、本図が普及しているが、中世以前の作例は少なく、清浄心院蔵の稚児大師御影は貴重である。
絹本着色 1幅 室町時代
稚児大師御影(ちごだいしみえ)
箱書と表紙には「童形大師」と墨書する。天照大神(あまてらすおおみかみ)が下生(げしょう:神仏がこの世に現れること)した時の姿の童子形の神像の雨宝童子(うほうどうじ)に酷似する。ちなみに、同童子は大日如来が化現(けげん:神仏などが姿を変えてこの世に現れること)した姿ともされていて、その影響で作られた像とも推定される。本図は童服をつけた立像である。髪型は古代における子供の角髪(みずら)で、髪の中央から左右に分け、両耳の上で丸く結っている。両手には宝珠を持つ。稚児大師といえば、蓮華の上に座り合掌する垂髪(すいはつ:たれ下げた髪)姿が知られているが、その一方で描かれた異形の像である。
絹本着色 縦93㎝×幅40㎝ 1幅 江戸時代
解説 木下浩良(清浄心院・高野山文化歴史研究所 所長)