廿日大師御開帳法会のご報告

令和4年 御本尊・廿日大師御開帳法会のご報告(4月20日取材)

毎年4月20日は清浄心院のご本尊・廿日大師の縁日です。今年はこの縁日を中心に3日間、数々の記念行事が行われました。4月18日の高野山大学名誉教授・山陰加春夫先生による特別講演会をはじめ、20日の木下所長の歴史勉強会。そして、18日から20日の3日間は池口恵観住職による護摩行(商売繁盛・家門繁栄祈願祭)が行われ、最終日の20日には廿日大師ご開帳法会が営まれました。この法会の模様をご報告いたします。

 承和2年(835)3月20日。弘法大師はご入定される前日に、自らの像を彫刻され、「微雲管(ルビ=みうんかん)」の3字を木像の後ろに刻まれました。この像は「廿日(はつか)大師」と称され、現在は清浄心院のご本尊として祀られております。
 弘法大師が弟子たちに真言宗の僧として守るべき事柄をまとめた『御遺告』の中に、「お大師さまは弥勒菩薩と下生する五十六億余年後まで、天(兜率天)の微雲管という雲の間から私たちをご覧になっている」とあります。お大師さまは微雲管から私たちの信仰を見守り、今も私たちの幸せを願ってくださっているのです。

廿日大師御開帳法会
廿日大師御開帳法会

 毎年4月20日は廿日大師さまの縁日です。この日は秘仏であるご本尊、廿日大師(お大師さま)さまが年に一度だけご開帳される日であり、朝から夕方まで崇敬者が集い、法会や行事が盛大に催行されます。
 総本山金剛峯寺に重要な年中行事がいくつかあるように、金剛峯寺の塔頭(たっちゅう)寺院(=子院)である清浄心院でも、1年を通してさまざまな行事が行われます。中でもこの廿日大師さまの縁日は清浄心院にとって特別な行事です。
 本堂には特別に百味供(ひゃくみく)という、廿日大師さまを供養するためのお供ものが用意され、ウドや大根、ニンジン、トマト、白菜などの野菜、りんごやミカンなどの果物も壇に並びます。清浄心院の百味供はおもに野菜が中心です。

 お寺に到着すると、すでに境内にはあふれんばかりの参拝者が列を作り、本堂に向かって法会が始まるのを待っていました。皆さんの信仰の厚さが伺いしれます。かつて豊臣秀吉も花見をしたという高野山で一番有名な桜、「傘桜」の咲き誇る美しい景色の中、お大師さまに感謝を捧げます。

廿日大師御開帳法会
廿日大師御開帳法会
廿日大師御開帳法会
廿日大師御開帳法会

令和4年4月20日、朝9時半に清浄心院本堂にて、御開帳法会が始まります。前官さまが中心となり、住職の池口恵観大僧正、清浄心院役僧による理趣三昧、そして御宝号「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」が唱えられます。この法会は倍増法楽(ばいぞうほうらく)と呼ばれ、お大師さまの法力が増すように、経を読誦して奉納いたします。法会は約1時間半近く行われ、それを囲むように多くの参拝者がお祈りをされていました。

 お昼を過ぎると、高野山の若手住職たちの会、南山会の僧侶が16名ほど参集し、鳳凰奏殿へ移動。ここでも前官さまを中心に法会が営まれます。広い鳳凰奏殿もほぼ満員。ものすごい熱気の中で粛々と声明が奏され、その後は池口恵観住職による護摩行が始まります。縁日に合わせて3日間行われる商売繁盛・家門繁栄祈願祭の最終日にもあたり、参列者のご多幸と家門繁栄を祈る炎に不動明王の御真言が響き渡り、大勢の崇敬者も一緒に祈り続けます。

 午後3時。すべての法会、護摩行が終わると傘桜の前では大餅投げが始まります。崇敬者をはじめ、地元の方々や子供たちも大勢待ち構え、笑顔あふれる中、僧侶たちによる餅投げが行われ、大盛況のうちに廿日大師さまの縁日が幕を閉じました。令和5年4月20日も素晴らしい御開帳法会が行われることを祈りつつ。

廿日大師御開帳法会
廿日大師御開帳法会